遺贈・死因贈与とは?

Q.質問
遺贈と死因贈与はどう違うのですか?

行政書士・社会保険労務士 岩本浩昭

A.行政書士・社会保険労務士岩本の回答

遺贈は、相続人以外の人に対し遺言書で財産を分け与えることを言い、死因贈与とは、お互いの意思の合致により生前の契約で財産を分け与えることを言います。

相続は何をするでもなく、亡くなった方の財産を相続人が譲り受けることを指します。

プラスの財産はもちろん、借金などマイナスの財産も当然に譲り受けるのです。

これに対し、遺贈は相続人以外の人に対して財産を分け与えたいときに、遺言書にその旨を記載することによって財産を譲り渡すことを指します。

遺贈のうち、財産全体に対する割合で与える分を指定する包括遺贈、この土地はAに、この建物はBに、というように特定の財産を与えることを特定遺贈と言います。

相続人以外の人が亡くなった方の財産を受け取るためには、遺言書で遺贈を受けていなければ基本的には財産を譲り受けることはできません。

相続と遺贈の違いは結構大きい!?

不動産の登記においては、遺言書に「相続させる」と記載していると、その遺言書で指定された相続人が単独で登記できることになっているため、相続人に対して財産を受け渡すには「相続させる」という記載をします。

これに対し、「遺贈させる」と記載すると受遺者に指定された方でも単独で登記することは出来ず、遺言執行者が選任されていないときは、他の相続人全員の同意が必要になります。

もちろん、遺言書で『○○に遺贈する』と記載していても無効にはなりませんが、不動産の相続の場合、相続人に対しては『相続人○○○○に相続させる』と記載していた方がいいでしょう。

また、不動産の賃借権を承継する際には、相続させると記載されていると所有者の承諾が不要ですが、遺贈させると記載している場合は、賃借権を承継するには所有者の承諾が必要になります。

ということで、相続させるという記載は、遺贈するという記載より簡単に手続きができるのです。

ですので、遺言書を作成する際はご相談いただければと思います。

参考までに、不動産の名義変更の際に納めるべき登録免許税は、相続と遺贈では以下とおり違いがあります。

H15.4.1~H18.3.31
H18.4.1~
贈与・遺贈
1.0%
2.0%
相続
0.2%
0.4%

せっかく遺言書に遺贈する旨を記載していても、不備があればその意思は実現することが難しくなる場合もあります。

そうならないためにも、遺贈をする場合には慎重に遺言書に記載しておく必要があります。

死因贈与とは?

これに対し、死因贈与は一種の契約です。

死因贈与は、相手方との意思の合致により贈与され、その贈与の効力は、贈与者の死亡のときから生じます。

贈与の一種ではありますが、贈与税ではなく相続税が課せられます

遺贈にしても死因贈与にしても、相続人以外の第三者に相続財産を分割することになりますので、相続人との折り合いがうまくつかない場合が多く、せっかく遺言書で財産の分与を記載していても、その遺言通り財産が分与されることは簡単なことではありません。

このような場合には、客観的な立場で財産分割に携る執行者を選任しておくと、もめごとを抑制するきっかけとなります。

死因贈与契約は特に、相続人以外の方に相続財産を贈与するものですから、その意思が実現されるためにもきちんとした書面を用意し、死後の手続きを任せられる執行者を選任しておく必要があります。

※相続・遺贈・死因贈与の違い

・相続=死亡により受け継ぐ
・遺贈=遺言書によって分与
・死因贈与=遺贈 生前の契約

遺贈にしろ死因贈与にしろ、せっかく書面を残しておいても、それをその内容通りに実現しなければ、被相続人の意思が無駄になってしまう可能性すらあります。

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